8. ファイルシステムの拡張
DOSファイルシステムに対応するように、Linuxのファイルシステムを拡張します。
1) 設定
fstabを編集します。本解説では、samba で 移動プロファイルを格納する場所を「/home」以下としています。パーティションはインストール時にデフォルトで指定しているため、以下に設定します。
# vi /etc/fstab
以下設定項目です。 赤文字部分を修正する。
/dev/VolGroup00/LogVol00 / ext3 acl,user_xattr 1 1
LABEL=/boot /boot ext3 defaults 1 2
tmpfs /dev/shm tmpfs defaults 0 0
devpts /dev/pts devpts gid=5,mode=620 0 0
sysfs /sys sysfs defaults 0 0
proc /proc proc defaults 0 0
/dev/VolGroup00/LogVol01 swap swap defaults 0 0
2) サーバの再起動
サーバを再起動します。
# reboot
9. SIDの取得
1) SIDの取得
PDCサーバのNetBIOSドメイン名 “test”からNTドメインのSIDを取得します。
その際にPDCのユーザIDとパスワードを指定します。
※ NetBIOS名が解決できる環境の場合(同セグメントにPDCが存在する)に限ります。
# net rpc getsid -S test -U Administrator%passwd
Storing SID S-1-5-21-xxxxxxxxxx-xxxxxxxxxx-xxxxxxxxx for Domain TEST in secrets.tdb ←出力されたSID
2) smbsv02にSIDを設定
項目1) で出力されたSIDをsmbsv02に設定します。
# net setlocalsid S-1-5-21-xxxxxxxxxx-xxxxxxxxxx-xxxxxxxxx
3) 確認
項目2) で設定したSIDが反映されているか確認します。
# net getlocalsid
SID for domain HANAZONO-SAMBA is: S-1-5-21-xxxxxxxxxx-xxxxxxxxxx-xxxxxxxxx
10. smbldap-toolsの設定
1) smbldap.confの編集
# vi /etc/smbldap-tools/smbldap.conf
以下、変更値のみ抜粋
SID=”S-1-5-21-xxxxxxxxxx-xxxxxxxxxx-xxxxxxxxx”
sambaDomain=”test”
slaveLDAP=”127.0.0.1″
masterLDAP=”127.0.0.1″
ldapTLS=”0″
suffix=”dc=test,dc=local”
hash_encrypt=”MD5″
userSmbHome=”\\BDC-SRV\%U”
userProfile=”\\BDC-SRV\profiles\%U”
userHomeDrive=”Z:”
2) smbldap_bind.confの編集
# vi /etc/smbldap-tools/smbldap_bind.conf
以下、変更値のみ抜粋
slaveDN=”cn=root,dc=test,dc=local”
slavePw=”passwd”
masterDN=”cn=root,dc=test,dc=local”
masterPw=”passwd”
11. ドメインリソースの移行
1) BDCをNTドメインに参加させる。
# net rpc join -w test -S testsv01 -U administrator%passwd BDC
2) sambaにNTドメイン用のBaseDNを登録する。
# smbldap-populate
2) 下記DNのSIDを “500” → “1000” に変更する。
uid=root,ou=Users,dc=test,dc=local
※BaseDNを登録した時点で「root」アカウントがSID=500で作成されます。
NTドメインのAdministratorアカウントもSIDが”500″のため、上記作業を行わないと、PDCからAdministratorのデータが移行されません。
3) PDCよりNTドメインリソースを移行する。
# net rpc vampire -S test -U Administrator%passwd
4) sambaを起動する。
# service smb start
# chkconfig smb on
12. データの移行
1) 移行先サーバでコマンドを実行する。
下記コマンドでは、nt-pdc-svの共有フォルダ”Users”を、sambaで共有されている”Users”に移行します。 移行対象はファイル実体とACL/timestampとします。また移行の状況を「migrate.txt」にリダイレクトする。
# net rpc share migrate files Users -S nt-pdc-sv -U Administrator%passwd --acls --timestamps >& migrate.txt
13. 既存サーバの撤去/新サーバPDC昇格
1) 既存のサーバをシャットダウンします。
2) samba設定
# vi /etc/samba/smb.conf
以下を変更する。
netbios name = nt-pdc-sv ←ホスト名を移行元に合わせる必要がある場合は変更する。
domain master = yes ←PDCに変更します。
os level = 64 ←マスターブラウザの優先を示す数値を最大に変更します。
wins support = yes ←sambaサーバでwinsサービスを提供します。
;wins server = 192.168.0.1 ←既存サーバに対するwins参照を停止します。
2) サービスの再起動
# service smb restart
以上で、全ての設定が終わりました。
クライアント端末から、通常通りログインができるか確認します。
14. まとめ
今回の検証では、移動プロファイルの移行で、かなりはまりました。ファイルシステム関連の設定を間違うと、移動プロファイルが正常に動作しません。移動プロファイルが正常に動作しない場合は、ファイルシステムの拡張(fstabの修正)と、sambaのDOSファイルシステム関連の設定を見直しましょう。今回紹介した構成については、Windows7には対応していないため、次回は、Windows7対応版にバージョンアップする手順を紹介したいと思います。