Amazon Web Service(AWS)入門 -初心者向け学習テキスト

はじめに

クラウドサービス、という言葉を耳にしたことはありますでしょうか。
ソフトウェアやデータ、技術基盤などを、インターネットを通じて必要な分だけ提供するサービスを指します。
AWSはクラウドサービスの最大手です。膨大な製品が提供されており、学習に気後れしてしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事ではAWS初心者向けに、おすすめのテキストをご紹介いたします。

事前知識 – 用語紹介

AWSには独自用語が多いです。テキストによっては、説明なしに使われることがあります。
以下、頻出の用語を簡単にまとめました。詳細はAWS公式リファレンスガイドをご確認ください。

リージョン
 データセンターの配置場所です。日本には東京リージョンと大阪リージョンが存在します。
 大阪リージョンは2020年現在は一部制限のあるローカルリージョンで、2021年初頭を目途にフルリージョンに昇格予定です。

アベイラビリティーゾーン(AZ)
 リージョン内に存在するデータセンターの単位です。東京リージョンにはaからdまでの4つ存在します(現在一般的に使用可能なのは3つです)。

インスタンス
 クラウド上の仮想マシンです。インスタンスを提供するサービスがAmazon Elastic Compute Cloud(EC2)です。
 データベース用インスタンスを提供するAmazon Relational Database Service(RDS)のような特化型サービスもあり、AWSには欠かせない概念です。

AMI
 インスタンスを立ち上げる際に必要な情報のセットです。
 AWSが提供するもの、個人や企業が提供するものの他に、起動済みのインスタンスをAMIイメージとして保存することができます。

VPC
 クラウド上のプライベートネットワークを提供するサービスです。

サブネット
 VPCなどをCIDR単位で小規模分割したネットワークです。

Elastic IP
 固定のグローバルIPアドレスです。
 インスタンスは起動ごとにIPが変化してしまいます。一般的にはElastic IPを取得し、インスタンスと紐付けを行うことでIPが変わらないようにします。

責任共有モデル
 AWSにおけるセキュリティの考え方です。
 AWSはクラウド本体の、ユーザーはクラウド内のセキュリティに責任を持ち、責任範囲が明確に分けられることを意味します。
 例えば、セキュリティ確保のためのサービスは多く提供されていますが、実際の運用責任はユーザーに委ねられています。

初心者向けおすすめテキスト

著者のおすすめ順に並べていますが、どのテキストから始めても問題ないと思います。

AWS認定アソシエイト3資格対策

第1章 AWS認定試験の概要と特徴
第2章 データセンター
第3章 コンピューティング
第4章 ネットワーキング
第5章 高可用性
第6章 ストレージ
第7章 データベース
第8章 アナリティクス
第9章 セキュリティ
第10章 AWSサービスを活用した開発
第11章 アプリケーションサービス
第12章 サーバーレス
第13章 モニタリングと運用自動化
第14章 コスト最適化
第15章 デプロイメントとプロビジョニング

AWS認定資格対策本です。サービスの種類ごとに章が分かれており、章末には公式チュートリアルへの案内があります。
本テキストに限らず、認定資格対策本で学習するメリットは、資格取得というゴールが見えやすいところです。
また、類似したサービスをまとめて学習できることで、個々の違いを知識として吸収しやすくなります。
更に最新の資格対策本には、AWSのアップデート部分のまとめトピックが書かれるため、自ずと活発なサービスを学ぶことができます。

Amazon Web Services インフラサービス活用大全

1章 Amazon Web Servicesとは何か
2章 5分でWordPressを構築
3章 仮想マシンの活用法
4章 インフラのプログラミング
5章 デプロイの自動化
6章 システムのセキュリティ
7章 運用タスクの自動化
8章 オブジェクトの格納
9章 ハードディスクへのデータ格納
10章 仮想マシン間のデータボリューム共有
11章 リレーショナルデータベースサービスの活用
12章 メモリへのデータキャッシュ
13章 NoSQLデータベースサービスのプログラミング
14章 高可用性の実現
15章 インフラの分離
16章 耐障害性のための設計
17章 スケールアップとスケールダウン

AWSの提供するサービスの中でも、インフラ構築の紹介に特化した名著です。
特筆すべきは内容の奥深さです。EC2をはじめとする16種類のサービスが、GitHubサンプルコードが用意された実践的ハンズオンを交えて詳細に解説されています。
6章「システムのセキュリティ」は、非常に重要ながら他のテキストで解説されていないことが多いため、価値が高い部分です。
全体的に、インフラを自動化して手軽に構築することに重きを置いています。4章で紹介されているサービス、AWS CloudFormation についてはじっくり学習しましょう。

Amazon Web Services エンタープライズ基盤設計の基本

序章  AWSの利点とデータセンターの構成
第1章 リージョン選びとネットワークの設計
第2章 仮想マシンとオブジェクトストレージ
第3章 負荷分散とスケーリング
第4章 疎結合
第5章 CDNとDNS
第6章 セキュリティ
第7章 基盤構築の自動化
Appendix A 問題と解答・解説
Appendix B インフラを構築してみよう

一般的なシステム設計に必要な要素ごとに、AWSのサービスの紹介と利用例という形で構成されています。
例えば4章「疎結合」においては、可用性と拡張性を高める考え方として疎結合化を紹介し、手助けになるサービスとして「AWS SQS」「AWS SNS」を紹介しています。
本テキストの長所は、「ある要件にAWSのどのサービスが合致しているのか」の直感的な理解しやすさです。サービスの説明も丁寧に行われており、ゼロから実践的ノウハウを蓄積することができます。

Amazon Web Services 定番業務システム14パターン設計ガイド

1章 Webシステム
2章 ストレージシステム
3章 データ分析システム
4章 アプリケーションの高速開発
5章 クラウドネイティブ
6章 ハイブリッドクラウド

システム構成図の実例を学習することができます。身に着けたサービスの知識を、実践的なものへと拡充する際に役立ちます。
要件を提示しそれに沿った構築を行うにあたって、丁寧な図解と一歩踏み込んだ深い内容がとても勉強になる一冊です。
注目は6章-ハイブリッドクラウド 内の「オンプレミス環境との連携」です。
他のテキストやAWS公式チュートリアルでは、既存環境との連携例はあまり見られません。クラウドの課題となるポイントを学べたことには、非常に価値がありました。

テキストではありませんが、AWSが提供する公式ハンズオンとして、10分間チュートリアルはおすすめです。利用にはAWSアカウントの登録・サインインが必要です。
トピックや目的からチュートリアルを選択し、ステップに添って進めていくことで、AWSサービスを簡単に試用できます。
スクリーンショットが添付されており、視覚的にも理解しやすく、種類も豊富で幅広い学習を行えます。
ほとんどが無料利用枠の範囲内で済むのも嬉しいところです。

おわりに

AWSは、日々サービス内容のアップデートを続けています。
Amazon Web Services ブログを確認するだけでも一目瞭然です。
とても活発なサービスと言えますが、その反面、情報がすぐに古くなってしまう短所があります。
学習の際には、なるべく新しいテキストや教材を用いるようにしましょう。

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